ANAの総合訓練施設「ANA Blue Base」。その内部のプレゼン会場で、Tシャツにジャケット、スニーカー姿の井上慎一代表取締役が、「新サービスモデル発表会」の名目で集まった報道陣の前に颯爽と現れた。
片手にはiPadを持っている。「みなさんこんにちは、井上です」。
海外の企業のプレゼンなら見たことあるようなこの光景でも、ANAという日本を代表するエアラインが行うプレゼンスタイルとしては「新しさ」はもちろん感じるし「ANAが変わろうとしている」という意思表示の一つとして敏感に感じ取ることに難くない状況で「新サービスモデル発表会」はスタートした。
新サービスモデルの名称は「ANA Smart Travel」。
2年にわたるコロナ禍で一変した世の中の価値観やニーズ。デジタル化への進度は加速し、デジタルサービスは当たり前になりつつある。具体的には、非対面・非接触、CO2削減、フードロスなどのSDGsへの貢献、ユニバーサル対応など価値観の変化も激しさも増している。
ANAとしては、人とデジタルを融合して、これまでの飛行機の旅体験をお客様の価値観の変化に合わせていく。独りよがりなデジタル化ではなく、あくまでもお客様に合わせていく想いと形を、この「ANA Smart Travel」で進化させていくことを井上社長はプレゼンの中でも強調した。
一言でいえば、旅の計画から空港までの移動手段、空港や機内で過ごす時間、そして到着後までのあらゆるシーンでお客様のスマートフォンなどのモバイルデバイスが、パーソナライズされた情報でサポートするのが「ANA Smart Travel」だ。
さらにいうならば、「旅をスマホがおもてなし」する体験、となる。
例えば、旅の準備段階では
ANAは「Twitter」や「Instagram」「TikTok」などのSNSで旅の情報を積極的に発信しているが、その中で気になる旅のテーマ、例えば「花火大会」「ハワイ」「ダイビング」などや地図からの目的地検索などで旅プランを作成することができる。
その旅プランをカートに保存。いくつか興味のある旅プランを比較検討したり、友達と共有することも可能。海外への旅ならば、ANA Travel Readyで渡航書類の登録や超過料金の支払いも事前に済ませることもできる。
また、機内食もシェフによるメニュー紹介動画を見てお好みの機内食を事前オーダできる。
「なんと、来年度中には国内空港の自動チェックイン機がなくなります」。
この発言を受けて、報道陣からも驚きの声が上がった。
すでに、事前に予約・購入・座席指定を済ませておけば直接保安検査場に進むことができる「スキップサービス」が定着している感があるが、空港では自動チェックイン機で搭乗手続きされている搭乗者の姿はいまだに多い。
そこでANAは2022年4月26日より、国内線のチェックインがアプリを使ってワンタップで、簡単・便利にできるサービスを開始している。
詳しくはこちら https://www.ana.co.jp/ja/jp/domestic/prepare/checkin/online-checkin/
「ANA Smart Travel」では、空港到着前までにオンラインチェックインを済ませ、空港での混雑を避けて非対面・非接触での搭乗手続きが可能となる。
「空港はもうチェックインをする場ではなくなる、新しい時代の到来です!」(井上社長)。
また、飛行機の乗るまでの移動に不安を抱えている声も多いことから、「空港アクセスナビ」を使用して自宅から搭乗までの道のりを確認できるようになっている。フライトの出発時刻から逆算して家を出る時間を確認できたり、空港の保安検査場の場所、搭乗口の場所、出発締め切り時刻なども表示されて、安心して出かけることができる。
さらに、ワンタップで搭乗券を表示して飛行機へ。いままでのピンクや黄色の紙はもう出てこないという。「ストレスなくスムーズにスマホがお客様を機内までエスコートします」。
機内ではスマホで映画などのエンターテイメント、新聞、雑誌なども楽しめ、さらに搭乗前後24時間は地上でも楽しむことができる。
出発時刻や搭乗口変更、また到着遅延により乗り継ぎ便への不安なども、機内にいても最新情報を知らせてくれるので、安心して機内で過ごすことができる。
大幅遅延や欠航が発生した際にも、スマホが代わりの便を案内。よりパーソナライズされた情報をスマホが知らせてくれる。
コロナ禍を機に、ANAは多くのお客様の声と向き合い、考え、そして議論を重ねた。
その結論がこの「ANA Smart Travel」であり、「旅をスマホがおもてなし」する体験だ。
井上慎一代表取締役社長率いるANAが、いま、大きく進化しようとしている。