ANA X 株式会社のシームレスに完結する旅のサービス「TaaSプラットフォーム」構想の発表会に行ってきました。
TaaSやMaaSという用語が最近頻出していますね。ビジネス用語はその都度覚えていかねばなありませんが、「いわゆるどういうこと?」というのをAviation Picksでは追求していきたいと思っています。
TaaS っていったい何?と思ってインターネットで検索してみても
「Taxi as a Service」「Truck as a Service」「Testing as a Service」「Teleportation as a Service」
「Trust as a Service」「Traceability as a Service」、、、と
それぞれの業界でさまざまな「T◯◯◯◯◯◯◯◯ as a Service」という表記がなされています。
ANA X が発表した TaaS は 「Travel as a Service」 の略で、スマートフォンひとつで快適な旅をシームレスに(複数の要素に繋ぎ目がなく)完結できるプラットフォームを構築しようというものです。
一言でいえば「ANAグループによる巨大経済圏を確立していこう」というでしょう。
つまり、ANAのウェブサイトで航空券を買ってもらう際に、ホテルもレンタカーもアクティビティもひっくるめて予約から決済までしてもらい、その分そのすべてにおいてANAマイルが貯まり、ANAマイルを使うこともできる。
なんなら将来的には航空券を買わない車などでの旅行でも、ホテルやレンタカーをANAのウェブサイトやアプリから予約、決済してもらい、その分ANAマイルが貯まり、ANAマイルを使うこともできる仕組みを構築していこう。
こうして空でも陸でも「旅」に関しては「ANAの経済圏の中で計画、予約、決済していただこう」。
さらに旅に関する行程やスケジュールを一括管理してもらい、途中途中で食事処や寄り道できそうな観光地情報などをスマホを通じてリコメンドして大いに役立ててもらいつつ、支払いにはANAのマイルを有効活用してもらおう。またはANA Payも活用してもらおう。
このような構想です。
背景には現状、航空券の予約、購入がANAウェブサイトから個人によるものが主になっており、旅行会社を通じてや旅行会社が企画するツアーによるものは伸びては来ないだろうという将来予測があります。
以前はパッケージツアーなどのパンフレットを制作し店頭販売していた航空券や宿泊のパックも、航空料金(ホテル代も同様)がレベニューマネジメントよる変動型(予約、混み具合で日々変わる)になったことでパンフレットの制作が事実上停止。販売のプラットフォームはインターネット、つまりANAのウェブサイトへと移行されてきました。
ANA Traveler`s ダイナミック パッケージです。おそらく目にしたことがあると思います。
ANAのウェブサイトの「国内線航空券+宿泊」というところですね。以前は「旅作」というネーミングでした。
TaaSプラットフォーム構想は、この個人手配旅行における宿泊だけでなく、レンタカーやアクティビティ、ゴルフ場予約などなど、ANAの航空券販売に提携社とAPI連携した利便性をプラスして一括で予約、決済してもらうことでANAのマイルの利用価値を高めてゆくものです。
今まで個別に予約、決済していた航空券、宿泊、レンタカー、アクティビティが一括で行うことができれば、便利でおトクでしょう、ということです。
△ まずは国内宿泊からサービス開始。リクルートのじゃらんやagodaとAPI連携している
2024年3月26日からすでに「国内宿泊」に関するサービスは開始されており、リクルートのじゃらんやagodaとのAPI接続が開始されています。
続いて2024年夏頃から「国内レンタカー」サービスを開始予定で、2024年度以降「国内アクティビティ」「国内ゴルフ」「海外ホテル、海外レンタカー」のサービスを開始予定です。
ただし、どこのサイトやサービスとAPI連携するのかは、未発表です。
△ 「TaaSプラットフォーム」構想について説明するANA X 株式会社 旅行事業推進部 森田 將裕 部長
さて、このANA X による「TaaSプラットフォーム」構想。
利用者にとっては単にANAのウェブサイトやアプリのバックグラウンドで動いているだけなのか、それとも以前の「旅作」に代表されるような「キャッチーなネーミング」が付与されるサービスなり独立したアプリになるのか。
そのあたりが気になるところですが、「まさに今後に向けていろいろと考えています」とは森田部長。
何はともあれ、ANAのウェブサイトやアプリで個人の旅が、予約、決済が一括でできてANAのマイルも貯まり、またANAのマイルを使うこともでき、より充実し便利になること。それがANA経済圏で実現できる社会が構築されてゆく。
便利になることがとても嬉しいことですが、ANA経済圏をフル活用するには、当たり前ですがスマホが入口です。ますますスマホの充電、紛失には気をつけて生きていかねばなりませんね(真っ先に頭をよぎったのはこのことです)。
個人的には、航空券、宿泊、レンタカー、その他の予約をそれぞれのサイトやサービスで別々に手配するのは苦ではありませんし、むしろ楽しんでいます。
根底には、フレキシブルに融通を効かせたい、という心理や自分なりの行動原理があります。
一括で予約しても、たとえばホテルだけ変えたい、日程を変更したい。レンタカーが不要になったなどなど。
ここは利用者それぞれの使用目的や使い方の違いはあると思います。
それぞれのサイトで予約する=煩雑に思っている、面倒くさく思っている。とは限りません。
ただし、宿泊の日付やレンタカーを手配する時間帯のミスは劇的に減ると思いますし、タイムスケジュールもスマホにアナウンスが来るでしょうからそこはとっても便利にはなりますね。
ワタクシのようにフレキシブルに動けるようにそれぞれを分離しておきたい心理の旅行者もいます。もちろん、そこまでカバーして!ということではなく、旅のスタイルは益々多様化していく中で、この一括管理、一括決済がどこまで必要とされるか。
少なくともこの構想の軸である、ANAマイルが貯まり、また使えることは、とても嬉しいことです。
取材 写真 文 : Aviation Picks 編集長 深澤 明