東京都が公募した「バイオ燃料活用における事業化推進事業」にて、ANAの「SAFの活用による羽田-八丈島路線のC02排出量削減事業」が採択されています。この事業を通じてANAは、SAFを活用するとともに、SAFの普及促進と東京都が掲げる2030年度カーボンハーフに向けた脱炭素化の推進に取り組んでいます。
このような取り組みの初日となる2023年12月25日に、東京都の小池百合子知事が羽田空港において羽田発 – 八丈島行きとなるNH1893便(ボーイング737-800型機)への給油作業などを視察されました。
「バイオ燃料活用における事業化推進事業」とは、東京都が環境負荷のより少ないバイオ燃料を活用した車両等での商用化・実装化に向けた事業を公募。バイオ燃料開発事業者などの取り組みに係る経費の一部を助成するというもので、東京都の脱炭素化推進およびバイオ燃料関連事業の活用化への寄与を目的としている。
2030年には航空燃料の10%をSAFに置き換えることをめざす航空業界と、2030年にカーボンハーフをめざす東京都の取り組みを、東京都内の定期航空路線である羽田 – 八丈島間で効果的にプロモーションして、SAFの認知拡大および脱炭素社会へ向けた普及啓発に努めてゆく。
△ SAFは羽田空港の共同タンクに貯蔵され、ランプ内地下の配管を通って機側まで届けられる
△ ANAでは2020年から羽田空港を出発する定期便へのSAF利用を行っている
△ 八丈島行きのNH1893便への給油作業を視察する小池百合子東京都知事。ANAの井上慎一代表取締役社長が作業などの説明を行った
△ 時間のタイトな中での視察にもかかわらず、ANAの井上社長に熱心に質問する小池都知事。この分野での取り組みが未来への布石とあって真剣さが伝わってくる
△ この事業の期間(継続的なSAFの活用期間)は2023年12月25日から2024年の5月までの予定となっている
△ 八丈島空港では給油は行わず、羽田空港で往復分搭載される
2023年12月25日から12月31日までは燃料の約10%にあたる量のSAFを使用し、年明けの2024年1月1日からは燃料の約1%にあたる量のSAFを活用する予定だ(ちなみに、世界におけるSAFの普及率は0.1%程度といわれている)。
航空需要が見込まれる春休み期間中やゴールデンウィーク期間中にはSAFの割合を10%に増やして、利用者へ向けて普及啓発を強化する予定だ。
羽田 – 八丈島間の運航は1日3往復で、1往復での燃料消費量は約8KL。C02排出量は約38tと試算されている。
この事業を通じて約100KLのSAFの原液を使用する見通しで、約400tのC02排出削減量を見込んでいる。
[取材 写真 文 : 深澤明]