コンビニ大手のセブン-イレブンは「7NOW (セブン – イレブンネットコンビニ」というサービスを実施しています。このサービスはおにぎりや揚げ物、冷凍食品、スイーツなどいつもセブン- イレブンで購入している商品を最短30分でお届けする、というもので普段は陸路で人が運んでいます。
今回、この「7NOW」で注文を受けた商品を、「セブン – イレブン 福岡横浜2丁目店」から海を越えて福岡市能古島にANAドローンで直接配送するサービスの実証実験を10月19日から10月23日まで行なっているというので、その様子を取材してきました!
今回のANAドローンによる実証実験、注文可能時間が11:30〜19:30です。取材を行ったのは10月21日の夕方から夜にかけてでしたが、この日の能古島の日没時間は17:39。つまり日没後の夜間にも行われているのがポイントの一つ!
なんといっても、夜間でのドローンによる配送実証実験は、これが日本で初めてのことだからです。これは目撃しないわけにはいきません。これが今回福岡まで駆けつけた理由です。
配送先となる能古島側には、
- 能古公民館
- 渡船場駐車場
- 江ノ口
- 西町
- 清和園
の5ヶ所の受け取りポイントが設けられているそうです。
ただし、夜間着陸に備えた十分な広さと照明などの設備を鑑みて、夜間は1の能古公民館のみが受け取りポイントとなっています。ちなみに「夜間」は「日没後」を意味します。
「セブン – イレブン 福岡横浜2丁目店」から「能古公民館」までの直線距離は4.7kmほどで、実際に18:00に商品を積んで離陸し、公民館にはおよそ10分後に着陸。設置してあった着陸ポイントのど真ん中に見事に着陸し、集まったメディア関係者からも歓声が上がりました。
実証実験中(10月23日)までは島民の方が「7NOW」のアプリを使って実際に注文ができ、この取材会を見学しに行きた能古島在住のご年配のご夫婦も着陸の様子を眺めながら「使ってみようかな」と興味津々でした。今回の実証実験は最低注文金額が300円(税抜)で、配送料金がなんと1回約1.7kgまでで110円という安さ。
今後は実際にこのANAドローンによる配送サービスを受けた島民の方々に「配送料がいくらだったら利用したいか」などのアンケートを集計し、ANAホールディングスとセブン&アイ・ホールディングスは今後の金額設定の決定材料にしたい考えだ。
さて、実際に「7NOW」で注文し、公民館で商品を受け取った能古島在住の男性(52歳)が取材に応じてくれた。
注文した品々は、パン2個、セブンプレミアムの惣菜2つ、白くま(氷アイス)、それにセブン・カフェのホットコーヒーだった。楽しげに箱を開けると、白くま(氷アイス)は溶けておらず、またセブン・カフェのホットコーヒーは開封後飲んでもらうと「お店で買ったままといっていい温かさで、美味しいです!」と笑顔をみせてくれた。
「セブン – イレブン」に実際に能古島からフェリーに乗ってこれらの商品を購入してきて家に戻ってくるまでにどのくらいの時間を要すると思うか、という質問にこちらの男性は「1時間半近くかかってしまうかも」と答えてくれた。それが、注文から30分以内に、家の前まで、とは言えないまでも島内の着陸ポイントで受け取れるのですから、これは相当便利になるのではと想像するのに難くないですよね。
まあドローンですから、雨風含めた気象条件によっては飛べない時もあるとは思いますが、ANAドローンによって気軽にセブン – イレブンの商品が購入できたら、能古島での生活も変わってくるかもしれません。
ANAホールディングスとセブン&アイ・ホールディングスは今回の夜間時間帯まで含めた実証実験から得られたデータや経験を活かしつつ今後もプロジェクトを推進していき「2025年には実稼働させたい」と意欲を示しています。
ANAホールディングスとしては、今後ドラッグストアや調剤薬局などとのドローンによる配送なども視野に入れつつ、輸血用血液なども含めた医療分野での配送にも意欲的に取り組んでいくとしています。
機材面だけでなく、日本の場合は法整備も含めてまだまだ発展途上のドローン市場。具体的には現行の航空法では禁止されている有人地帯における目視外飛行(いわゆる「レベル4」飛行)が、2022年12月から一部解禁となる予定です。
この「レベル4」飛行が解禁されますと、ますますこのANAドローンによる配送サービスが現実味を帯びてくることは確かです。
これからも世の中の常識や仕組みを変えていくポテンシャルを含んでいるANAのドローン事業。今後の発展や展開に大いに注目していきたいと思います。
ANAのドローン事業についてこちらをご参照ください!