【MRO Japan】〈独自取材〉沖縄にあるMRO Japanで働くということ 2

ボンバルディアDHC8-Q400が大好きという、元気いっぱいの笑顔で語る饒波さん
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

沖縄・那覇にあるMRO Japanで働くということ、第2弾です。饒波 良樹 (のは よしき)さんは前回ご登場いただいた宜間 (ぎま) さんと同じく沖縄のご出身の入社5年目3期生です。

「高等学校では普通科でしたが、〝ドック整備がしたい〟と思い岐阜県にある航空専門学校へ進み整備の勉強をしました」という饒波さん。専門学校在学中に沖縄でのMRO Japan立ち上げの話を聞いたといいます。

出身地である沖縄で航空機の整備ができてとても誇りに思います!」と力強く語り、弾けるような笑顔を見せてくれました。

「MRO Japanではいろいろな会社のいろいろな機体を触れるのがとても魅力」と目を輝かせる饒波さん
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

ドック整備に憧れいまに至る饒波さんはとても充実した日々を過ごしているようで「MRO Japanに入社したプロパー社員も増えてきていますが、ANAから出向で来られている整備士の方もとても優しく、たくさんのことを教えていただいてます」と語ります。現在のMRO Japanの雰囲気の良さも伝わってきますね。

饒波さんに1日の流れをお聞きすると「朝は作業前に必ず手順書に目を通します」と目つきが真剣モードに。「整備作業というのは手順書通りに行うのが基本」ですが、その手順書も更新されていることもありますし、その日1日の流れをしっかり確認するこの一手間が大事だといいます。

というのも、日々連続した作業を担当するとは限られておらず、例えば今日はボーイング737のとある箇所の修理、明日はQ400のとある箇所の修理、その次の日はワークマンとして他の作業のサポート、、、とその日その日担当する作業が違うため、作業前に念入りに確認をすることはとても大切なんだそうです。

そもそもボーイングとエアバスでは単位の表記が違うそうで「エアバスがミリでボーイングがインチなんです」。そして同じパーツでも名称が違ったりするので、それに対して必然的に細かく対応しています。

そして、1日の作業で大事にしていることは

〝難しいところから作業に取り掛かる〟

〝正直苦手だなと思うところから慎重に取り掛かる〟

と明かしてくれました。

Q400がドックインしてから整備作業を完了するまでの流れを説明してくれました
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

さて、MRO Japanで行う整備は基本的にはC整備と呼ばれるものです。その機体が何回目のC整備なのかにもよりますが、1ヶ月ぐらいの期間をかけて部品をバラバラにしてさまざまな検査を行い、必要に応じて修理作業を実施します。

ちなみに上の写真の饒波さんの後ろにあったQ400は、9回目のC整備を終えたところだそうです。人間と同じで、歳を重ねれば重ねるほど細部にわたって点検を必要とします。そう考えると、整備士は飛行機のお医者さん、といった感じにも思えてきますね。

では、Q400がドックインしてから整備作業を完了するまでの工程はどんなものでしょうか。饒波さんが説明してくれました。

ドックインしてからの流れはざっと次の通り

  1. ジャッキアップ(足場を固める)
  2. アクセス確保(各所点検するためのパネルを開ける)
  3. インスペクション(ルーティンでの確認、メンテナンスなどの作業)
  4. NRTC : Non Routine Task Card (ルーティンではない確認、メンテナンスなどの作業)
  5. 交換箇所がきちんと動くかどうかチェックする
  6. エンジンハイパーラン : Engine High Power Run Up(エンジンの高出力での試運転)
  7. 完成

※ 3,4は並行して作業される場合もあります

項目6のエンジンハイパーラン時でエンジンスタートの動作を行うには、一等航空整備士の資格が必要といいます。饒波さんは現在、一等航空整備士取得に向けて着々と経験と勉強を積み重ねています。

ところで、整備作業がすべて完了し、その機体を送り出すときの気分はどんなものなのでしょうか。

「しっかり整備して点検もして、当たり前ではあるのですが、離陸していく姿を見ると〝ちゃんと飛んでくれた〜!〟〝2年後まで頑張って飛んできてね〜!〟という想いで見送ります」と語ってくれました。

飛行機に対する〝愛〟を感じますね。

日々作業内容は変わるものの、手順書をしっかり確認して着々と整備作業を行う
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

元々手先が器用で細かな作業が好きだったことから手に職をつけたかったという饒波さん。日々の充実ぶりは堂々とした語り口調と満面の笑みから充分すぎるほど伝わってきます。休日にはお気に入りのお店にステーキを食べに行くなど、出身地である沖縄での暮らしも満喫されているようです。

3期生5年目の同期としてこれからのMRO Japanの中核を担っていく饒波さん(左)と宜間さん(右)
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

最後に整備士を目指す人たちへのメッセージを饒波さんに求めましたところ「飛行機が好きならば一緒に沖縄のMRO Japanを盛り上げていき、日本だけでなく世界の空の安全を支えていきましょう」と力強いお言葉をいただきました。

これから益々日本品質の整備技術力が注目されMRO Japanの存在感が増してくる中で、饒波さんや前回記事にご登場いただいた宜間さんのような、誠実で真面目で頑張る整備士たちの存在はとても貴重であり、かつ将来の日本の空、世界の空の安全を守ることにおいて、実に頼もしく感じました。

2回にわたりお送りしました〈独自取材〉沖縄にあるMRO Japanで働くということ、をお読みいただき誠にありがとうございました。

そして、快く取材を受け入れてくださったMRO Japanの皆さまに心より御礼申しげます。ありがとうございました。

MRO Japanの機体整備工場見学ツアー、超オススメです
[photo : FUKAZAWA Akira @ Ace Photographer inc.]

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