【ANA WINGS】〈独自取材〉- ANAウイングス – Pride 4

– ANAウイングス – Pride第4弾は、運航乗務員 運航部Q400運航室の副操縦士、坂本 真佐幸 (さかもと まさゆき)さんです。大阪国際空港 (伊丹)をベースにDHC8-Q400で北は北海道、南は九州まで全国を飛び回る日々。

ヒコーキ写真愛好家にはレアシーンとして好まれる、伊丹空港での通称 14 (ワンフォー) の着陸に関しても、ぶっちゃけ話をお聞きしちゃいました。


〈独自取材〉 – ANAウイングス – Pride 4

日本の大学で最初に設置されたプロパイロット養成コースである東海大学工学部航空宇宙学科「航空操縦学専攻」を卒業後、ANAウイングスに入社した坂本さん。

順風満帆な学生時代ではなかったようで

「要所要所のテストに落ちて、、、ずっと低空飛行でした」。

決して優等生ではなかったと自らの学生時代を振り返りながらも

「仲間にも支えられて何とかここまでやってこれました」

と語る坂本さんは、まもなく機長への昇格訓練を控えている。

北は北海道の稚内から南は九州・沖縄の離島に至るまで、全国津々浦々まで路線網がはりめぐらされているのがANAウイングスの特徴であり、その中でもDHC8-Q400型機で結ばれている路線をくまなく飛ぶ日々だ。

このインタビュー後には、大阪(伊丹) – 青森 – 札幌 (新千歳) – 函館 – 札幌 (新千歳) と飛び札幌でステイ。

翌日には札幌 (新千歳) – 根室中標津 – 札幌 (新千歳) – 福島 – 大阪(伊丹) – 高知と飛び高知でステイ。

翌々日はデッドヘッドで高知から大阪(伊丹)へ移動。その後大阪(伊丹) – 大分 – 大阪(伊丹) – 高知 – 大阪(伊丹)という2泊3日の乗務を行なっている。

出発前の外部点検ではQ400の先端部分をポンポンと軽く叩き「今日もよろしくね」と願掛けをするという坂本さん。

Q400での運航はジェット機に比べると速度が出せない分、日本の空域をよく理解していかに効率よく飛ぶかが肝だという。

「安全を第一に担保しながら、特に脱炭素も意識しながら飛んでいます」と語る。

オートスロットルもオートブレーキもないQ400。

プロペラの回転の関係から右のラダー (方向舵) を踏み込むことが多いため、右の靴がすぐにシワが寄ったりしてダメになってしまうという。

「ステイ先でいつも右の靴にだけ新聞紙を詰めて型を戻してします」。

Q400の機長の中にはいつも靴がピッカピカの方がおられるそうで

「このキャプテン、靴の輝きがハンパないな」

と思うそうで

「いつも何事にもきちんとされているんだな」

と背筋が伸びる思いだという。

「私も意識して磨いているのですが、、、まだまだ及びません」

という坂本さんの靴もとってもピッカピカでした。

好きな空港は?との問いには

「ここ、伊丹空港です」

と即答。

理由は

「夜の着陸の時、街の夜景がとっても綺麗で美しいからです」

という。

ただし、Q400で飛ぶ各空港の中で伊丹空港のA滑走路 (RWY32R/14L) が 滑走路長1,828mと一番短い。

「伊丹空港は好きな空港ではあるのですが、A滑走路からの離陸は特に気をつけています」

離陸の際に不具合も何が起こるかはわからないため、 滑走路長が短い空港の場合、離陸決心速度前後までは特に気に張るという。

そこで、伊丹空港といえばヒコーキ写真愛好家がワクワクしながら撮影する、通称ワンフォー (14)、RWY14Rへの着陸についてどう思っているのか、興味本位で聞いてみた。

「ワンフォーになるということは、気流が安定していない時、ですからね」と笑う。

つまり、そよ風程度ではわざわざワンフォーにはならないわけで、操縦はさらに慎重度を増す。

坂本さんがワンフォーに対してどう思っているかは、想像に難くないだろう。

運航乗務員という仕事は、半年に1回試験がある職業だ。

日々気をつけることも多く

「ONとOFFのスイッチをうまく切り替えている」

という坂本さん。

ANAウイングスには、ANAグループのスローガンである

「あんしん、あったか、あかるく元気!」そのものの人が多いと語る。

坂本さんもまさにこのスローガンの通りの方でした。

運航乗務員の坂本さんには、フライト中お客さまの様子は直接確認することはできないが、予測と実際を比較しながら〝お客さまへの気遣い〟を常に念頭に置いて乗務されている。

明日もきっと、日本の空を北へ南へと、右のラダーをいっぱい踏み込みながら、安全第一に飛んでいることだろう。


「夜の伊丹空港へのアプローチ時、大阪の街にひときわ青く輝く光がたくさんあるんですよ」

と教えてくれた坂本さん。なんとそれらはとあるビジネスホテルの同一ブランドだそうで

「大阪の街だけでこんなにあるんだ」

と驚くほどだそうです。

きっとコクピット窓から見る夕景や夜景は、さぞ美しいのでしょうね。

さて、次回の – ANAウイングス – Prideはついにシリーズ最終回。

整備士の林 拓央さんの登場です。

お楽しみに!

[取材 撮影 文 : 深澤 明 (Ace Photographer inc.)]

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