– ANAウイングス- Pride の第3弾は、総合職 オペレーション部 業務推進課の吉田英人(よしだ えいと)さんにご登場いただきます。「ひょっとしたらANAウイングス社内でも、オペレーション部 業務推進課がどんな仕事をしているかわからない人も多いと思います」という吉田さん。これは興味深いお話になりそうです!
〈独自取材〉- ANAウイングス- Pride 3
「一言でいえば、空港業務の委託管理をしています」
と吉田さん。
ANAウイングスは運航乗務員と客室乗務員が中心の会社だという前提をまず理解する必要がある。つまり、自社で空港業務部門を持っていない。
空港業務とは、航空券の発券や搭乗手続き、手荷物カウンター、搭乗ゲート、到着ロビーなどでのお客さまへのサービスを指すが、他の航空会社は自社でグランドハンドリングなどの空港業務まで行っているところもあれば、グループ会社を作りそこに委託しているところもある。
ANAウイングスは就航先の各空港の総代理店に委託して空港業務を行なってもらっている。各空港の総代理店というのは、その地域のバス運航会社などが業務を行なっているところ、と書くと理解しやすいかもしれない。
さらに踏み込むと、ANAウイングスは一旦ANAに委託をして、ANAから各空港の総代理店へと委託している。
つまり
ANAウイングス → ANA (1次委託先) → 各空港の総代理店 (2次委託先)
と並べるとわかりやすい。
これは、NH便として飛ばしているけれども、その中にはANA便もあればANAウイングス便、さらにはAir Japan便もあるので、ANAがグループとして委託先を取りまとめてくれている形になっているというわけだ。
この構図の中で、吉田さんが所属するオペレーション部 業務推進課の主な職務内容は
「品質管理」と「監査対応」
の二つだという。
ここでいう「品質管理」とは何か。
ANAウイングスはDHC8-Q400とボーイング737-800という2機種の小型機で運航しているが、小型機ならではの課題も多い。
例えば、単通路機なので搭乗時に持ち込み手荷物の収納に手間取り、渋滞が起きやすいなどが挙げられる。これは機内で手荷物を収納するオーバーヘッドビンが中型機や大型機に比べるとどうしても容積が小さいのも要因の一つだ。
その結果、なかなか出発できず、定時性に影響を及ぼしてしまう可能性をはらんでいる。
これがいわゆる「オペレーション上の品質」に関わる事案の一例である。
そこで、出発空港のグランドスタッフと連携を取り、搭乗手続き時に手荷物を預けてもらうように積極的に声がけをしてもらったり、搭乗ゲート前でも搭乗開始前に声がけをして手荷物を預けてもらうようにするなど、多岐にわたって管理をしていく。
これが吉田さんが日常的に行なっている「品質管理」の例だ。
もちろん、機内での客室乗務員の誘導も重要な役割を果たす。一旦自席に入ってから手荷物をオーバーヘッドビンに上げるようにとご案内された搭乗者も多いだろう。
「飛行機を飛ばすにあたり、こんなに細かいことがたくさんあって、いろいろな部門の方々の間に立って行う仕事が多いとは、入社時には想像もつきませんでした」
と吉田さん。
それだけ細かい業務だということは、それぞれの部門のことを知る人たちが集まる必要がある。
現在ANAウイングスのオペレーション部業務推進課は羽田空港にあり、17名在籍している。運航管理資格保持者、運航乗務員、客室乗務員、旅客・グランドハンドリング経験者など、その分野に明るい人たちが集まっているという。
さらにオペレーション部業務推進課を上げて「2年間かけて就航先全空港をまわろう」と活動中で、実際に顔をつき合わせて「品質管理」に関する意見交換を行なっているという。
吉田さんはこの取材の日の2ヶ月前には鳥取砂丘コナン空港へ出向いており、取材日の次の日には阿蘇くまもと空港へと向かっている。
目的は「意見交換の場」を作ること。
「各空港の人は、運航乗務員や客室乗務員が機内で何をやっているのかわからない場合が多いんですよ。到着後から出発まで機内で何をしているのか。」
そこで、運航乗務員や客室乗務員にも参加してもらい、各空港の人との意見交換をしながら、お互いの作業行程を話し合ったりして、細部にわたって確認することがとても意味があるという。
「知らないが故にお互いのストレスになりますからね」
と各部門から集まったプロ集団をまとめるディレクター的な立場を見事なまでに務めている。
その中から生まれた「こういうことが気づきになった」ということの積み重ねと、定時運航のために何ができるか。各部門の一人ひとりの強い想いを、同じ方向へと向けていくことで「品質向上」につながってゆく。
こうした専門知識を持った人たちと意見交換をしている時に「航空会社で働いているんだなぁ」という実感が湧くという。
そんな吉田さんが抱いている – ANAウイングス – Prideとは。
「やりたいことを実行できる会社だと思います」
とキッパリ。
創立12年の若い会社という点と、大きすぎない会社規模からして、ひょっとしたら大企業だと難しいかもしれないことでも「こうしたい」と強く持ち続けていれば、ANAウイングスでは実現可能だと吉田さんは感じている。
そして
「ANAグループの中でも先駆的な存在になりたい」
「ANAウイングスはもっともっと存在価値を高めていける」
という想いを常に持っているという。
吉田さん自身「過去の踏襲があまり好きではない」という。伝統や慣習、決まりやルールは大切だし、法律の遵守はもちろんではあるが
「自分で物事の本質を見極めて、変えていく必要があるものは変えていく」
というスタンスを常に持ちながら日々の業務に取り組んでいる。
正直にいいますと、吉田さんに1週間ぐらい密着取材を敢行したいほどです。というのも、おそらく数十分のインタビューでは語り尽くせないほどの多岐に及ぶ業務をされているだろうという点と、吉田さんに密着していれば「航空会社とは何か」がよく理解できる気がしたからです。
「飛行機を飛ばす」という直接的な部署ではないにしても、普段はなかなか触れることも知ることもできない「航空会社の核心部分」に少しだけ踏み込めた気持ちになりました。
それにしても、ANAウイングスの皆さんはとても元気です。吉田さんも背筋がビシッと伸びた姿勢と充実感のあるその表情から、日々の業務に対する凛とした姿勢が伝わってきました。
さて、次回の – ANAウイングス – Prideは運航部 Q400乗員室のパイロット、坂本真佐幸さんの登場です。
お楽しみに!