【JAL】海外基地客室乗務員の活躍ぶりをご紹介

左から海外基地先任客室乗務員(チーフパーサー)として活躍しているチェリーさん、ベラさん、ニールさん。JALふるさとアンバサダーGLOBALとして活動しているジェイドさん、マックスさん[写真 : FUKAZAWA Akira]

JALには客室乗務員の「海外基地」というものがある。その目的は、現地での採用と育成、それに安定的なスケジュール運用だ。海外基地の歴史は古い。1966年8月の香港基地開設に始まり、1984年12月にはサンパウロ基地を開設(2010年10月に閉鎖)、1988年3月にはシンガポール基地、4月にはロンドン、フランクフルト基地、1995年3月上海基地、2008年4月はJAA(日本アジア航空)との統合で2008年4月に台北基地、2010年12月にはJAZ(JALウェイズ)との統合でバンコク基地、2019年9月にマニラ基地(コロナ禍による採用中断により休止中)が開設されている(フランクフルト空港所客室セッション、ロンドン客室乗務員室は現在閉鎖されており、機能を東京に移管)。海外基地の在籍人数は約1,000名。その中での最大人数はバンコク基地で全体の50%ほどを占めている。

コロナ禍での各基地の様子やアフターコロナでの「反転攻勢」をどのように行っているのか、とても気になるところでもある。

コロナ禍での取り組みとして注目したいのは「テレワーク教育の実施」だ。上海基地の客室乗務員が主体となり、日本人客室乗務員向けの学習コンテンツの1つとして「中国語講座」を作成。テキスト打ちからレッスン動画の撮影も行い、来るべきアフターコロナを見据えて着々とレベルアップを図っていた。上海はロックダウンが続いたことも記憶に新しいが、そんな中でも継続してコンテンツ作成を実施していたというから、並々ならぬ熱い想いがあったことがうかがえる。

また、バンコク基地では客室乗務員たちがデザインし、制作者とのコンタクトも自らが行い、JALのオリジナルグッズをタイ国内にて販売している。様々なものをクリアしていき、オンラインショップの開設にまでこぎつけている。さらに週末にはトンローの日本市場で直販を行っており、売れ行きも好調だ。

バンコク基地の客室乗務員などが自らデザインし、タイ国内で販売されているJALのオリジナルグッズの数々。日本で販売しても売れそうなものばかりだ[写真 : FUKAZAWA Akira]

またシンガポール基地ではグローバルな視点から教育事業への参画を行い、オンラインにて高校生向けの異文化理解講座に参加した。

香港基地ではコロナ禍での貨物需要増を受けて、支店内異動により「貨物部門」「コールセンター部門」「総務部門」において客室乗務員としての経験を活かして活躍した。

当然のことながら、コロナ禍での国際線の大幅な運休、減便に伴って多くの海外基地乗務員が乗務資格を失効してしまった。そこで復便に向けた訓練が必要とあるのだが、本来なら日本での所定の訓練を受講する必要があるが、新たにオンラインでの訓練項目を導入。乗務ができない中でも現地にいたまま安全意識を維持できるようにし、残りの訓練を日本に受講することで乗務復帰を果たしている。

さらにJALは海外基地所属の客室乗務員の活躍推進の取り組みを実施しており、2018年以降本格的な海外基地客室乗務員への資格付与制度を導入している。

JALは海外基地客室乗務員への資格付与制度を導入し、活躍推進の取り組みを実施している[写真 : FUKAZAWA Akira]

2022年度に海外基地先任客室乗務員(チーフパーサー)へと昇格したのは上の写真中央のニールさん(ロンドン基地)と写真右のベラさん(台北基地)の2名だ。ニールさんは乗務機内の一番前で機内アナウンスをするときなど「大きな責任を感じていますが、(とてもやりがいがあり)楽しいです」と笑顔で語ってくれた。ベラさんは自らの責任の大きさはもちろんのこと「後に続く後輩たちの人財育成にも尽力していきたい」と目を輝かせて語ってくれた。写真左のチェリーさん(台北基地)はJAA(日本アジア航空)に入社しており、日本航空統合後の先任登用としては初めて、3年前に先任客室乗務員への昇格を果たしている。「国籍とか年齢とか性別とか関係なく、世界各地から優秀な人財が集まり、そしてJALの客室乗務員として活躍していることはとても素晴らしいことであり、いままでのJALの伝統を守りつつ、日本人客室乗務員や海外基地客室乗務員が力を合わせて新しいJALを創造していきたい」と希望に満ちた表情で語ってくれた。

そしてもう一つ、海外基地客室乗務員が活躍しはじめた分野がある。「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」だ。

「JALふるさとアンバサダー」という呼び名は一度は見にしている方も多いだろう。JALの社内公募で選ばれた客室乗務員が現地に定住して、地方の取り組みを推進するものとして2020年8月に発足している。地域活性化によって地方を元気にすることによって、東京と地方、地方と地方間の人流を増やすことを目的としており、各地域の自治体や観光協会とともに、地域資源を活用した魅力作りや商品開発などに積極的に関わっていき、地域課題に対する企画の提案などを行っている。日本における「JALふるさとアンバサダー」の活動拠点は2022年12月現在で、札幌・帯広・函館・青森・仙台・新潟・名古屋・京都・大阪・広島・高松・松山・福岡・大分・熊本・宮崎・奄美の17地域だ。

そのようなベースがある中で今回ご紹介する「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」は、海外基地客室乗務員ならではの視点を活かして日本の観光地や様々なイベントに参加して調査やレポートを行い、日本へのインバウンド誘客に向けたサポートを目的として活動している。

「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」は海外基地客室乗務員ならではの視点を活かして日本を調査、レポートを行い日本へのインバウンド誘客をサポート[写真 : FUKAZAWA Akira]

写真左のマックスさん(バンコク基地)はタイではモデルや歌手、ニュースキャスターなども務めた多才な面を持つ客室乗務員だ。谷中や浅草で行われたインバウンド受入環境調査のOJTを行ったり、練馬での都市農業ツアーや青森FAMツアーに参加するなど積極的に活動している。9月15日から1年間、日本を拠点に「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」として活躍する予定だ。インバウンド受入環境調査は、外国人が日本を訪れた場合にどんな大変な思いをするか。言語表記はどうなっているか。外国人にとってわかりやすいかなどを調査するプロジェクトだ。「飲食店でテーブル会計なのか、レジにて会計などかよくわからない場面が多く、周りをよく観察してから会計しています」と言って自らの日本での経験も語ってくれた。

写真右はジェイドさん(台北基地)は2022年11月から「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」として日本へ。インバウンド向けの接客の注意点を紹介する「滋賀県講話」に参加したり、練馬での都市農業ツアーなどすでに積極的な活動をしている。

練馬での都市農業ツアーにおいては、練馬区での離農問題についての解決へ向けた方向性探索の意味合いもあり、日本が抱える問題点解決に向けての社会的意義にまで踏み込む場面も想定されており、「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」は実に面白いポジションになりそうだなポテンシャルも感じる。

海外基地先任客室乗務員の3名、「JALふるさとアンバサダーGLOBAL」の2名の輝かしくかつ凛した姿に、JALの明るい未来を感じることができた、といっても過言ではないだろう。

皆さまの益々のご活躍を祈念するとともに、心から応援したい気持ちでいっぱいだ。

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