JALは2022年6月12日、鹿児島空港開港50周年企画として「鹿児島空港発着のエアバスA350型機による富士山遊覧チャーターフライト」(主催 : 阪急交通社)を実施した。
エアバスA350型機が鹿児島空港へ飛来するのはこれが初めて。鹿児島空港の展望デッキや外周の撮影ポイントには、この歴史的瞬間を写真におさめようと多くのファンが駆けつけているのが確認できた。
鹿児島空港の国際線ターミナル3番スポットに到着後は、霧島市在住の小学生を対象とした「スカイスクール」や鹿児島の甲南高校の生徒を招いてのイベントが開催された。ランプ内で機体外観を見学した後、機内へ。各シートやコクピットなどを見学した。
そして場所を国内線ターミナルへ移し、小学生にはJALの鹿児島県出身の客室乗務員(CA)による「SDGs講話」が、甲南高校の生徒には同じく甲南高校出身のJALのA350パイロットとの座談会が行われた。
「富士山遊覧チャーターフライト」は、国内線として飛ぶ遊覧フライトにもかかわらず国際線ターミナルからの出発というレアな体験となったが、そのフライトに先立ち国際線ターミナル 2階の保安検査場前では出発前セレモニーが行われた。主催する阪急交通社、JALの鹿児島支店の支店長挨拶につづいて、今回の「富士山遊覧チャーターフライト」を担当する運航乗務員が挨拶。
「普段飛ばないような特別な飛行ルートをご用意しております」と語り、参加者を喜ばせた。
そしてセレモニーのクライマックスには鹿児島が生んだアーティスト、辛島美登里さんのミニコンサートが開かれ、美しい歌声が国際線ターミナル内に響きわたった。
いよいよ保安検査開始の時を迎えた。この「富士山遊覧チャーターフライト」、便名はJL3153便。「3153」=さいごうさん。そう、鹿児島のゆかりのある人物では筆頭に挙げられると言っていい、西郷隆盛にちなんでいる(オペレーション上はJL4901便)。このフライトの搭乗者は300名を超えた。そしてついに、機内へ!
機内に入り自席(エコノミークラス)につくと、個人用モニターには鹿児島空港開港50周年を記念するアイコンが表示されていた。またウェルカム画面も桜島や薩摩切子など、鹿児島のモチーフにしたビジュアルになった特別バージョンになっていた。「このまま羽田 – 鹿児島の定期便として就航してほしいよね」と鹿児島線への投入を熱望する声がすでに、「富士山遊覧チャーターフライト」の出発前から機内のあちこちから聞こえてきた。
離陸滑走路はRWY16から。梅雨時期ということもあり、天候が心配されたが、前日の雨がうそのような青空が朝から広がった。鹿児島空港の外周にはJALのエアバスA350型機を一目見ようと、また写真を撮ろうと多くの人が集まっているのが見えた。離陸後右に大きく旋回すると、A350型機のフライトの楽しみの一つ、個人用モニターで見ることができる「機外カメラ」からは桜島の勇姿がハッキリと見てとれた。
この「富士山遊覧チャーターフライト」にはJALのふるさと応援隊や鹿児島出身など、鹿児島にゆかりのあるCAが乗務した。シートベルト着用サインが消灯すると、CAたちが順番に機内アナウンスで挨拶。久しぶりに話した、という鹿児島弁を交えた挨拶に、搭乗者も大喜びの様子だった。
阿蘇の外輪山を左手に見ながら19,000ftという比較的低空を飛び、松山市、淡路島、名古屋市の上空を通過。その間に機内ドリンクサービスが行われた。搭乗者は事前に配布されていたお弁当を楽しんでいた。
富士山を望むポイントへの南アルプスの上空に差し掛かると、250kts前後の低速で3回ほど旋回。左右のどちらからでも見えるようにと配慮するも、富士山の頭は巨大な雲で覆われていた。コクピットからは「富士山の南側の峰が見えております!」「9時から10時の方向にあります!」と一生懸命に富士山の見える角度などをアナウンスしてくれた。
帰路は大阪市、瀬戸内海、宮崎上空などを飛行。鹿児島空港のRWY16に着陸した。2時間40分ほどのエアバスA350型機の遊覧チャーターフライトを、搭乗者も満喫したようだった。